【Tリーグ】「2-2の最後の1ゲームとして試合に臨んだ」張本智和　20181117

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文・写真　マンティー・チダ

11月17日、木下マイスター東京（以下KM東京）はホーム開幕戦をアリーナ立川立飛で迎え、T.T彩たまをマッチカウント3-2で逆転勝利、開幕戦から無敗を守った。

この日の大事なマッチをものにしたKM東京#17張本智和は、ホーム開幕戦となったアリーナ立川立飛で堂々とした戦いぶりを見せた。

ハーフタイムまでマッチカウント0-2と劣勢の中「僕と水谷さんで3点取らないといけない」と気持ちを引き締め、後半の戦況を見つめていた。「水谷さんが流れを変えてくれた」と試合後に語る張本は第4マッチに満を持して登場する。

第1ゲーム、張本は立ち上がりから2本しっかり決めるも、T.T彩たま# 20チョン・ヨンシクに3連続で得点を許す。張本はその後1点返したが、ブロックがネットにかかるなど、再び3連続で奪われ3-6と追いかける展開となるが、強烈なバックハンドを決めるなど7連続得点で一気にゲームポイントを迎える。チョンの強打に屈する場面もあったが、最後はバックハンドでうまく対応し11-8で第１ゲームを獲得。

第2ゲームは、第１ゲームを取った勢いから、張本は3連続得点で先陣を切る。ラリーを拾って得点するなど、8-2までリードを広げた。途中バックハンドがアウトするなど3連続失点を喫するが、終盤フォアハンドやチキータが炸裂し11-6でゲーム連取に成功する。

第3ゲームも第2ゲーム同様、張本が3連続で得点し優位に立つが、TT彩たまはタイムアウトを請求し試合を止めると、ここからチョンが3連続で得点し五分に戻す。3-3から張本はフォアハンドを叩きこみ、チキータからフォアハンドストロークでラリー戦を制するなど9-5とリードを広げていく。チョンに強打を喰らってしまうなど3連続失点で流れを失いかけるが、タイムアウトから連続得点11-8とし、第3ゲームを勝利で飾ると共に、ゲームカウント3-0で張本が第4マッチを制した。

マッチポイントが2-2となり、第5ゲームのビクトリーマッチにも張本が続けて出場。T.T彩たまは香港のエース、ウォン・チュンティンが登場した。両者は開幕戦の第3マッチで顔合わせしていて、その時は張本がストレート勝ちを収めている。「対戦相手として自信があった」と話す張本が、主導権を握っていく。

ビクトリーマッチは、1ゲームマッチ。5-5まで互角の勝負が続く中、張本は相手のレシーブがネットにかかると、フォアハンドをしっかり入れて2点リード。ウォンに1点返されるが、ウォンのチキータに対してフォアハンドでしっかり打ち返し、強打も生まれマッチポイントを迎える。最後は強烈なフォアハンドが決まり試合終了。大事な局面で張本は仕事を果たし、マッチカウント3-2でKM東京がTT彩たまを下した。

KM東京・邱建新監督は「張本が強いのは当たり前で驚いていない」と話すほど、まさにこの日は「張本劇場」だった。第4マッチを落とせば、チームの敗戦が決まる大事な場面で起用された張本は「水谷さんが3-2で勝ってくれて少しは楽になった」と考え、試合に臨む。

ストレートで第4マッチを制し、直後に行われた1ゲームマッチのビクトリーマッチにも張本は指名された。「世界選手権でも経験できない緊張感だった。手も震えていた」と心境を明かす。2ゲーム先取、3ゲーム先取の試合を数多くこなしてきた選手にしてみれば、1ゲームマッチというのは想像ができないのだろう。

しかし張本は、ビクトリーマッチに向けて「第4マッチをストレートで勝った試合は無かった事と思って、2-2の最後の1ゲームとして試合に臨んだ」とコメント。経験できない緊張感の中で、張本は自己分析をし、試合に向けて準備をしていた。コメントを伺う限り、とても15歳とは思えない冷静な対応だ。

さらに「T.T彩たまの選手は右利きが多いので、ドイツと日本で右利きの選手と練習を重ねてきた」と続けた。このところ、左利きの選手と対戦するケースが多かったこともあっての対策だった。

T.T彩たま・坂本竜介監督からも「張本の強さを身に染みて感じた」と言わせるほど、張本の充実ぶりが伺える。勝利チームインタビューでは邱建新監督の通訳をアドリブでこなす場面もあった。この先どのような過程で成長するのか？ますます楽しみな若きエースに今後を期待したい。