【日本卓球リーグプレーオフ】有延大夢擁するリコーがシチズン時計を下し初優勝 20181202
文・写真 マンティー・チダ
2018年度日本卓球リーグプレーオフJTTLファイナル4が、12月1日・2日に高崎アリーナで開催され、リコーがシチズン時計を3-2で下し初優勝を遂げた。
JTTLファイナル4には、日本リーグ前期・後期優勝チーム、前期・後期大会その総合順位によって出場チームが決まり、シチズン時計(前期優勝)、リコー(後期優勝)、東京アート(総合3位)、協和発酵キリン(総合4位)の4チームがファイナル4に挑んだ。
ファイナルに残ったのが、共に初優勝を狙うシチズン時計とリコーの顔合わせ。リコーには、現在Tリーグ琉球アスティ―ダでプレーする有延大夢が所属する。
1番にはリコーが有延、シチズン時計は御内健太郎が出場。前期MVP有延、後期MVP御内というMVP同士の対戦になり、御内は今大会初出場となった。
第1ゲーム、有延が先取したが、得意のフォアハンドが思うように安定しない。そこに付け込んで御内が3連続得点をし優位に進める。中盤に入り少しボールが落ち着き始めた有延は5-5の同点にもちこむ。しばらく一進一退の攻防が続くが、終盤フォアハンドで強打を叩き込んだ御内が3連取して11-8と先取した。
第2ゲームに入っても有延のフォアハンドは不安定が続いた。序盤は決めきれていたが、3-2からフォアハンドをネットにかけるなど、6連続失点でペースを失う。一時は1点差まで追いつくが、御内のバックハンドに屈する。結局11-8で御内がゲーム連取する。
第3ゲーム、有延のフォアがようやく安定し始める。序盤からフォアハンドで落ち着いて加点すると、強打やスマッシュ、チキータも織り交ぜ5連続得点で優位に立つ。最後はこうブロックも出るなど、このゲームは11-5で有延が1ゲーム返す。
第3ゲームを奪った有延が、第4ゲームも勢いよく先制するが、御内も喰らいつき拮抗した展開が続く。有延はチキータなどで3連続得点を果たし7-4とリードを奪うが、ここから再びフォアハンドでミスをし、リードも無くなる。結局10-10でジュースとなり、御内が2本連取で勝負を決めて、1番は御内が獲得した。
2番では、リコー・山本勝也がシチズン時計・神巧也のペースに巻き込まれず、ゲームカウント1-2から逆転勝利を飾り、振出しに戻す。そして、有延は3番のダブルスに出場のため、コートに再登場する。
有延は、ダブルスで鹿屋良平とペアを組み、町飛鳥・上村慶哉組(シチズン時計)と対戦。シングルスの時の不安定さが嘘のように、第1ゲームで出だしから有延のフォアハンドが力強く決めた。その後有延は、バックハンドでも要所で決めてリードを奪う。ペアを組んだ鹿屋もバックハンドやサービスで相手のミスを誘うなど優位に進めたが、シチズン時計に逆転を許し、リコーもジュースで粘りを見せたが11-13で第1ゲームを落とす。
第2ゲームに入っても、シチズン時計のペースで進んだが、2-4からリコーは有延のフォアハンド強打をきっかけに一気に4連続得点で逆転に成功する。しかし、シチズン時計も終盤に10-10とし、2ゲーム連続でジュースとなるが、最後はリコーが2連続得点で勝負を決めて、ゲームを取り返す。
第3ゲームに入ると、リコーは出だしからシチズン時計に4連続得点を許し、劣勢になりかけたが、2点差で喰らいつく。4-6からリコーは鹿屋のフォアハンド、有延のフォアハンドドライブで5-6とする。ここでシチズン時計がタイムアウトを請求して、ペースを取り戻すも、再びリコーの猛攻が始まる。有延がバックハンドでタフなショットを決めると鹿屋のサービスが相手レシーブのアウトを誘うと、有延のチキータ、フォアハンドドライブで一気に逆転に成功。シチズン時計に1点返されるが、リコーはタイムアウトで間を取り、最後は有延が得意のフォアハンドで勝負をつけてゲームカウント2-2とし、優勝に王手をかけた。
4番はシチズン時計・町が、リコー・池田忠功をストレートで下し、ゲームカウント2-2として5番に向かう。
5番に登場したのは、3番のダブルスに出場したリコー・鹿屋と、シチズン時計・上村慶哉の対戦。第1ゲーム、第2ゲームと両者が取り合って、第3ゲームを鹿屋が11-9で奪い、第4ゲームも鹿屋のペースで試合が進む。終盤上村がフォアハンドドライブなどで5連取し同点までもつれ込んでジュースとなるが、最後は鹿屋が粘って勝利をおさめ、ゲームを獲得。この瞬間、リコーが初優勝を決めた。
優勝後のインタビューで、リコー・工藤一寛監督は「決勝戦のオーダーを自分では決められなくて、選手に決めてもらった。選手が決めたオーダーであれば、納得できるのではないか」と驚く発言をした。「5番に控える鹿屋に回れば大丈夫かな」と確信していた。リコーは今季、日本リーグ前期、全日本卓球選手権団体の部を制覇している。「選手を信じた結果、成し遂げることができた」と選手に全幅の信頼を寄せていた。
有延も「何とか全員で、5番の鹿屋選手に回そうと思っていた」と開口一番話す。調べてみると、今季の鹿屋は5番で出場の時は負けていない。野球に例えると「守護神」的な存在になっていた。
そして「1番で御内選手に負けてつらかったけど、2番の山本さんがすごくいい試合をしてくれて、自分は絶対にダブルスでは負けないという強い気持ちで臨んだ」とその時を振り返った。
今季はリコーが主要タイトルを制覇した。Tリーグという新しい形式の戦いが増えて、選手たちも負担が大きくなった反面、国内でトップ選手同士の戦いを身近に見られる機会が増えた。来年はより一層卓球界のレベルアップに期待したい。
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