【ノジマTリーグ】「対戦するのであれば、隼とやりたかった」T.T彩たま・岸川聖也 20181209

文・写真 マンティー・チダ

12月9日、T.T彩たまは木下マイスター東京(以下KM東京)とアリーナ立川立飛で対戦し、マッチカウント2-3で敗れた。

長年の卓球ファンにとっては、待ち望んだカードがTリーグで実現した。#8岸川聖也(T.T彩たま)と#0水谷隼(KM東京)がTリーグで初めて顔を合わせた。

第4マッチに登場した岸川と水谷。第1ゲームは岸川が優勢に立つ。フォアハンドドライブで先制すると、サーブも巧みに決めて3連続得点で波に乗った。ゲーム終盤に向かっても岸川は、フォアハンドが要所で決まり、主導権を渡すことなく11-7でゲーム先取する。

第2ゲームに入ると、一転して水谷のペースに。岸川に1点目を取られるが、その後は4連取。フォアでラリー戦を制するなど、6-2でリードする。岸川もベテランらしく粘りを発揮し、3点差で喰らいつくが、水谷がフォアハンドドライブなどを入れるなど、序盤のリードを守り切り、11-9とゲームを取り返す。

第3ゲームに入ると、序盤は互角な戦いを演じるが、4-4から水谷がフォアハンドドライブなどで4連続得点を達成しリードを奪う。岸川も盛り返すが、終盤は岸川のミスショットが目立ち、結局11-7で水谷が勝利し、王手をかけた。

第4ゲーム、3-3から岸川のミスが続き、6-3と水谷がリードしたところで、T.T彩たまベンチがタイムアウトを請求。ここから岸川が意地を見せる。バックハンドでラリー戦を制すると、コースを散らばせて、7-7の同点まで盛り返す。その後、お互いに意地を見せ、10-10のジュースとなる。ここから、バックハンドで岸川が1本奪って、ゲームカウントとしたが、水谷がネットインというラッキーな得点も手伝って同点とすると、フォアハンドもしっかり打ち分けて、12-11と勝ち越しに成功。このタイミングでKM東京ベンチはタイムアウトを取り、最後のプレーの確認をする。そして、水谷はラリー戦に持ち込み、しっかり打ち込んで試合を決め13-11とし、ゲームカウント3-1で水谷に軍配は上がった。

岸川と水谷、日本の卓球界をリードしてきた2人だ。岸川はTリーグ日本人最年長選手でもある。この2人とT.T彩たま坂本竜介監督は、かつてドイツ・ブンデスリーガでプレー経験があった。坂本監督からすれば、岸川と水谷は弟分にあたる。岸川を第4マッチに起用した理由についても「岸川VS.水谷をみんなに見せたかったというところが正直あった」とコメントするほどだった。

「いろんな選手を起用していく中で、全員にチャンスを与えたかったし、岸川もきちんと練習をしていたので、強いというのはまだわかっていた。敗れはしたが、素晴らしいプレーをしてくれた。卓球を長年見ている人からしたら、たまらないカードだったのでは」と坂本監督も思わず笑みをこぼすほどだった。

岸川は、2009年・2013年世界卓球選手権で水谷とペアを組み、男子ダブルス銅メダルを獲得する。そして、2015年全日本選手権準決勝以来の直接対決がTリーグで実現した。

「隼がダブルスに出るだろうと思っていたので、第3マッチか第4マッチのどちらか、50%の確率で隼と対戦だろうと考えていた。Tリーグではシングルス初出場になったが、その相手が隼で良かったし、楽しかった。対戦するのであれば、隼とやりたかった。しっかりと第4マッチに起用してくれた監督に感謝ですね」と語る。

岸川は、Tリーグシングルス初出場と思えないぐらい、冷静に自分のプレーに徹していた。「滅茶苦茶、緊張するかと試合前には思ったが、試合にはすんなり入れて、出だしから良いプレーができた」と満足そうだった。坂本監督がタイムアウトをコールした後、盛り返した場面では「隼は世界のトップ選手なので、1本1本取っていくしかない。目の前の1本に集中するという心境だった」と続けた。

対戦相手の水谷も「全日本の準決勝以来だったかな。久しぶりの対戦で、昔のことを思い出した。過去にも全日本や国際大会で対戦していて、この日同様に負けられない試合だったが、いつもよりは楽しかった」とこちらも笑顔だった。

岸川は選手であると同時に、コーチも兼任している。「国内でこれだけ緊張した場面で、いい試合を経験できるというのは大きい。若い選手には良いと思う」とTリーグについても評価した。

「若手の勢いあるプレーも良いけど、僕とか水谷の経験豊富な選手のプレーも一緒に見てほしい」ベテランならではの発言で締めくくった岸川の挑戦は、まだまだ続く。

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